『図書室のはこぶね』(実業之日本社)発売。

装画:カシワイ 装幀:田中久子




ずっと書きたかった〝青春モノ〟です。

思いは、重い──。

あふれる意欲に圧されすぎ、勝手にプレッシャーを感じて、最初は全然いいアイデアが浮かびませんでした。

殺伐とした事件が起こるドロドロのプロットを仕上げてボツったり。

そういうことって、あるよねー。


高校の図書室での出来事……という舞台をあげたのは、自分だったか編集者さんの助言だったか?

もう覚えてないのですが、とにかくここが大事な岐路で、以降、私の意識は大きく舵を切り、プロットもすんなりできたのでした。

プロットの内容が決まると、題名もあっさり決まった。

(仮)でつけておいて最後に熟考することの多い題名ですが、『図書室のはこぶね』という題名は、プロット段階から一環して変わりませんでした。

そんな始まりが、ちょうど去年の今ごろのこと。


書くことはもちろん、いつものように難しく、イメージ通りに筆力が追いつかず苦しい思いもしましたが、

ふしぎなことに、この作品はどれだけ苦しかろうが執筆自体はずーっと楽しかった。

びっくりするくらい、ワクワクしながら書いていました。

十代の登場人物を描くと、書き手の細胞まで活性化されるんですかね。(※個人の見解です。科学的根拠はありません)


そして書いているうちに、登場人物全員が大好きになっていました。

書き終えて、校正も終えて、念校と呼ばれる最終のゲラを編集者さんに送るとき、思わず「さびしい」とメールに書いてしまったくらいです。

書き終えた今もなお、若い彼らの幸せを祈り、成長を願っています。

胸を張って「大好きな作品です」と言えるモノに仕上がって、本当に嬉しい。本当によかった。

ぜひ多くの方に読んでほしいです。


よろしくお願い致します!



追記

この本、カバーも素敵なんですが、カバーを外した本体デザインも素敵なんです。

図書館(図書室)の本だと、見られるのかな? 見てほしいなあ。